できることをしなくちゃね
70代後半の女性Kさん。背骨の病気で背中が曲がり足が不自由になって
きて歩行器で歩くのがやっと。
しかし2年前まではまだ動けていて車の運転もしていたんですって。
1年ほど前から私が担当。最初は厳しそうな表情の方で、とっつきにくい
印象だったのですが、誠意をもって話合いをしていく中で、段々とお互い
打ち解けてきました。厳しい表情はそのまま(笑)もともとのお顔でした!
そんな方が恥ずかしそうに笑う時、ギャップで私の心はキュンとなります。
背骨の手術を病院から勧められたことがありましたが、ご主人が反対。
失敗して寝たきりになったら困るからと。本人は「私も手術は考えるけど
主人がそんなに言うから・・」と夫に従っています。Kさんの担当として
ご主人に向き合い、手術に反対する本当の理由は何かと聞きました。
やはりご主人なりにKさんのことを思っての決断。私もKさん夫婦の意向
に沿う決意をしました。
背骨の病気の影響で尿失禁しやすい状態にあります。足が不自由なので
さっとトイレに行くことも難しい。肘や肩にも力が入り、あちこち痛みが
あります。
そんなKさんのすごい所は、病気を受け入れ、必要以上に落ち込まず、毎日
時間をかけて調理や洗濯などの家事に加え、デイケア以外の日は朝夕、
自分でストレッチや歩行練習など自主練習に取り組んでいます。
「私忙しいの。落ち込んでいる暇はないよ」と笑うKさん。
体調が悪い時は潔くベッドに休む。
デイケアスタッフより、デイで尿失禁があったと報告を受けた時、
「Kさん、人前でもらして落ち込んでなかったですか?」と聞くと、
「ごめんなさいね~」とは言っていたけど、すごく落ち込んでいる
様子はなかったとのこと。
そうは言ってもやっぱり落ち込んでいるんじゃないの⁈と定期訪問した時、
その時の事を確認したら「あ~そうなのよ~、今度からは紙パンツを
毎回履くことにしたわ~」と過ぎたことと流しているその姿、好き♥と
思いました。
私はくよくよ考えるタイプだけど、Kさんは違う。
しかしKさんだって、人前でおしっこをもらして残念だと思っている。
”でも体が思うように動かないから仕方ないじゃない。できることを
しなくちゃね”という前向きな気持ち。私は受け取りました。
Kさんは小柄で顔も小顔。なのに、手だけは野球のグローブのように
大きくて関節がゴツゴツしているんです。びっくりする位大きい。
「働いてきた手ですね~」と言うと、「そうなのよ~一生懸命農業を
してきたの~。まっじっとしている性格じゃなかったからよく動き
回っていたんだけど。今はこんなになってしまって、これからどう
なるんだろう」と苦笑いしながら不安を口にしたりします。
Kさんとご主人の想いに寄り添い、相談事があるときはすぐに駆け付ける、
そんなケアマネでありたいと思っています。